強い陽ざしが凍えた空気をやわらげていた。いつの間にかまるまった背中をのばし、顔を天に向かわせる。
気は昂ぶり、冬の厳しさを忘れ記憶の中から春の匂いを思い起こす。
今朝は冷え込んだが、日中は風もなく太陽の光でマイナス4度とは思えず。
浮かれ気分で車を走らせる。
狐の足あとがあちこちに。やつらも私と同じ。
春を待ちかねている。
「二月は逃げていく」とは、農家のおばさんの言葉。
言い得て妙なり。
二月もあと数日で終わり、迎えるは三月弥生。
ふいに「仰げば尊し」が頭のなかを駆けめぐる。そして音符となりこぼれ落ちた。
あのとき、桜は咲いていたか…





