立て続けに変な夢を見た。
決まって朝方。
あまりにも不可解な夢なので反芻していると頭が冴え、寝られずにそのまま起きていることになる。
最初の夢。
東京らしい。
といっても都会ではなく、はずれの田舎。
きれいな川が流れ、その上の小高い丘に家がある。
そこに数人と仕事場として使って居るみたいだ。
玄関を開け、せせらぎの音を聞いていたら、下手の森の中から ザザッ ザザッ と木を揺する音がする。
何だろうと見ると、大きな猿が飛んでいた!
猿と言うより猿人と呼ぶ方がしっくりくる生物がジャンプしながら木から木へと移動している。
呆気にとられて見ていたらその先を女が歩いていた。
何故か胸がざわついた。
女が襲われる!
そう思った途端、猿人は飛びながら女の髪の毛を鷲掴みにし、連れ去っていった。片手で軽々と。
あまりの驚きに声を失って、なおも行方を追っていると猿人は川の上で女を離し、落としてしまった。ザブン!放り込むように。
猿人は楽しむかのように女の周りを飛び回り、頭を押さえつけ何度も沈めていた。
ここで我に返った自分の喉からようやく声が出た。
「やめろー!何するんだ!!」
猿人は動きを止め、こちらを振り返る。
視線が合った。
赤く禍々しい目をしていた。
来る!
またもや予感はあたり、猿人は女のことは忘れたかのように川をザブザブと渡り、こちらへ飛ぶように突進してくる。
恐怖のあまり凍り付いたようになった体をなんとか動かし、家の中にいる人たちに「窓を閉めろ!奴が来る!」と怒鳴る。
あぁ、玄関も閉めなければ。
そう思い閉めようとしたときに気が付いた。
引き戸だ。
それでも鍵を閉めなければ。
鍵はどこだ。
あった!
しかしこの鍵は二枚の戸を中央の穴でねじ込むタイプの昔のものだった。
そして最悪なことに、その穴がそれぞれ反対の位置にある。
こ、これじゃ閉まらない!
どうする、どうする?
戸の外では木の揺れる音が大きくなり、奴の気配が濃くなってきた。
ザッ
ガラス戸に奴の巨大な影が映る。
もうダメだ。
俺は奴に…
戸が開かれた。
赤く、鈍く光る目に射すくめられた俺は立ちつくす。
猿人の右手がゆっくりと動いた。
その手の先には
「荷物をまとめて出てこい」
と書かれた紙が。
「? … はい」
夢一夜 其の一
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